~昼休み~
まったく、突拍子がないのはいつものことだが、そんな大事なことをいきなり言ってくるとは……。
ってもう午後か。時間もなければプレゼントもケーキも食事の場所すらなにもない。
せめてどれか1つだけでも今から用意できるものは――。
ミュシャ副官!
……どうした?
(それに用意をしようにも私にはまだ職務が。
なんてことだ。このままでは将軍を失望させてしまう)
報告します!
ポリヴァ砂漠にて巨大な野生生物が出現!
負傷者が多数出ているため軍へ討伐の要請が入りました!
なんだと? だが私はいま大事な――
(いやいや、これはあくまでプライベートでのこと、今は職務を全うすることが――ん?)
……どこに出現しただと?
……? ポリヴァ砂漠ですが。
(ポリヴァか……なるほど)
わかった。今すぐに兵を集めてくれ。私が向かおう。
あの、ルシアン将軍へは――。
私から伝えておく。
お前たちはすぐに出発の準備を進めてくれ。
急ぐぞ! 半刻で現場に向かう!
~ポリヴァ砂漠~
弓兵隊、一斉に撃て!
ぶぉぉぉおおおお……。
続いて歩兵隊、前へ! 一気に制圧せよ!
(涙)
副官殿、敵の無力化を確認しました。
よし、ではすぐに近隣のハンターにこの場所を伝えてくれ。
肉や革を有効活用してもらう。
うえぇ……食べられるんでしょうか、これ。
どうだかな。私は好んで食べようとは思わないが。
それもそうですね。
では基地へ戻りましょうか。
そ、そうだな……。
どうかされましたか?
ん……その、なんだ。
お前たちだけで先に戻っていてくれ。
我々のみですか? 副官は……?
わ、私は……もうしばらくここに残ることにする。
もし気になることがあるのでしたら我々も――。
いや、いいんだ!
先に戻っていてくれ。私もすぐに戻る。
そ、そうですか……。
では副官の帰還をお待ちしております。
あ、あぁ。道中気を付けるように。
はっ!
(や、やってしまった……。
これまで任務中に私用を入れるなどしなかったというのに……。
どうしてくれるんですか、どんどんあなたに感化されていますよ)