太陽王国の癒し処

太陽王国の癒し処
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前回からの続き

みんな! 聞いてちょうだい!

アンジェリア!? なんなんだよその恰好は!

これこれこういう事情でして。

なんだって!?

お前、戦争がなんなのかわかってんのか!? 生きるか死ぬかって時に防御力下げてどうすんだよ!

でも、みんなが過酷な生活を送っているから元気なって欲しくて……

馬鹿野郎! みんなお前が一番つらいことくらいわかってんだよ!

こっちのことはこっちに任せときゃいいんだ!

ったく嫁入り前の女がなんて格好を……わかったらサッサと服を着ろ!

刃さん……。

…………。

(レオン将軍とは全く違う……まさか熊族はホワイト部族なのか?)

刃のやつ、いつの間にか随分と良いことを言うようになったな。

(……ッ!? 見た目通りのホワイト!?)

…………。

しかし発想は悪くない。兵士達には癒しが必要だろう。

…………!!

他に何かいい案があるっていうのかよ。

生き物はただ食べて、寝ていれば満足するようには出来ておらん。

それらに加えてプラスアルファが必要なのだ。

プラスアルファ? マイナスイオンに癒し効果があるとかは聞いたことあるけどプラスもあったのか?

そうじゃない。それにマイナスイオンにそんな効果はない。

簡単に言えば、生きるために不要なもの、そういったものが生きていく上で必要なのだ。

どっかのカピバラみたいなこと言ってるけど、何となくわかったぜ。

つまり食事だけじゃなくてたまにはおやつも必要だ、ってことだな。

…………。

アンジェリア姫、この件は熊族に任せてくれないか。

え、えぇ……それは構いませんが、お願いしてしまっていいのですか?

…………!?

無論。

刃、今すぐ勇士たちを集めるのだ。みなに一肌脱いでもらうぞ。

ったく熊使いが荒い……。

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うぉぉぉ……なんだこの弾力ともふもふ感は……

どこまでも吸い込まれていく……

これまでの疲れが嘘のように回復する……

お、お前ら! あんまり肉をつまむな――っておい! そこは触るんじゃねぇ!

ゥオーホォー!!

あの、砕牙族長、これは……。

熊族と人間の親交を深めるために前ウィリアム国王と暖めていた企画でな。

どうやら人間にとって我々の体毛はとても心地いいらしい。

なので熊族と触れ合う空間と軽食等を用意した癒し空間となっている。

名付けて『熊カフェ』だ。

それって猫カフェのパクりなんじゃ。

(わぁ、素敵ですね)

姫、思いと言葉が反対です。

コ、コホンッ。

でも、当初の目的は果たせそうで良かったわ。みんなすっかり癒されているみたい。

えぇ、ですが……

もう戦争なんてどうでもいい……

一生こうしていたい……

人間をダメにする熊……

元の世界に戻ってこれるのかどうか懸念があります。

…………だ、大丈夫よ、きっと………。

…………。

 

人間をダメにしてしまう熊カフェ。

やがて太陽王国きっての一大公営事業となるが

それはまたもう少し先のお話。

 

一方某所……。

ちょ、ちょっと! だからこれはダメなんだってば!

いいから! 少しでいいから貸してよ!

それさえ着ればきっと私もみんなに見てもらえる……ッ!!

どぉだー! どぉだー! どぉだー! って全部撃ち落されてるー!?

私の矢はこんなに当たるのに、どうして誰の心も射貫けないのよー!!

誰かこのオバ(自主規制)もらってあげてー!!

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